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Primordia
House
木々に囲まれ、野菜を育て、季節のうつろいを楽しむ。
自然とのつながりを大切にしたいという住まい手の想いを受け取り、この住宅の計画がはじまった。
敷地は、宅地開発によりコンクリート擁壁で囲まれ、土の呼吸や水の流れが分断されていた。私たちはその土地に、森が芽吹くような環境を呼び戻すことを目指した。
「Primordia(プリモルディア)」──“物事のはじまり”を意味するラテン語の名に、そんな願いを込めている。
建築に先立ち擁壁を解体し、そのガラや焼き杭、竹炭、くん炭、ウッドチップなどを用いて土中に空気と水の流れを導き、自然な水脈がつながるよう地中環境を整えた。そこに、土圧を最小限に抑える独立基礎を点在させ、地面の呼吸を妨げぬよう、そっと建物をのせていく。
レベル差のある地形を活かしたスキップフロアが、空間を緩やかにつなぎ、煙突効果で風の流れを促す。夏の日差しには、置き屋根が温放射をやわらげ、熱のこもりを防ぐ。
古いものに愛着を持つお施主さんが選び集めた古建具を随所に配し、無垢材やしっくいといった、時とともに味わいを深める素材で構成。間取りは極力シンプルにとどめ、暮らしの中で自由に彩りを加えていける余白を大切にしている。
人と自然が共に息づく、「はじまり」のかたちを模索した一棟である。
竣工:2025年3月 / 所在地:千葉県我孫子市 / 延床面積:91.29㎡(27.61坪) / 施工:株式会社 AS IT IS / 撮影:SHIIKI Hiroshi

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